作品タイトル   作者名   出版社

「三国志」     吉川英二

  (講談社文庫 全6巻)
作品ジャンル(管理人の独断で決定)
 中国歴史物語 (劉備成りあがり伝説)
あらすじ
 これは中国の歴史物語です。といっても、正確な歴史ではなくて、三国志演義という歴史を題材にした物語の翻訳物です。漢王朝の血を引く劉備が戦乱の世をおさめようと、立ち上がる所からこの話は始まります。 しかし王家の末裔といっても、現在は貧乏なごく普通の庶民の身である劉備が、どのようにして国を作るまでにいたるかを楽しむ話です。劉備は、武勇もなく、それほど知力もないのですが、義理人情に厚く、人柄が良く、誰もに好かれる魅力の持ち主でした。そのため彼のもとには、すすんで有能な武将たちが集まってきます。関羽、張飛などの豪傑たち、そして、天才軍師諸葛孔明といった、綺羅星のごとく輝く武将たちを従え、かつては「むしろ」を売っていた劉備が一国一城の主になっていくのです。
おすすめポイント
 三国志、といえば、孔明というくらいですが、この吉川訳の三国志は、特に孔明をひいきにしています。三国志を読んだことのある人でも、孔明ファンなら、この吉川版を読みべきですね。そして、まだ三国志を読んだことのない人は、これを読んだら、孔明ファンになってしまうでしょう。それがよくわかるのが劉備と孔明の出会いの場面です。何度もたずねていっても会えなかった孔明に、劉備がやっと出会えた瞬間の、孔明の描写の華麗なこと。一目惚れかい!とツッコミをいれたくなるほどです。その他にも三国志には、個性的、かつ魅力的な武将がたくさん出てきますから、歴史が好きな方はぜひどうぞ。
心に残ったこの一言
   「私は将軍のお招きを(中略)
      陽の目を待っていたのかもしれません」
      ――
諸葛孔明
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