作品タイトル   作者名   出版社

「黒後家蜘蛛の会」   アイザック・アシモフ

  (創元推理文庫 全5巻)
作品ジャンル(管理人の独断で決定)
 日常的ミステリ(黒後家蜘蛛の会の愉快な面々)
あらすじ
 「黒後家蜘蛛の会」とは、気の置けない友人達が月に一回集まって、豪華な食事と楽しい話しに花を咲かせる、という集まりです。会の決まりとして毎回、会員がゲストを連れてきて、彼の話を聞くことになっています。女人禁制なので男性だけの集まりなのです。そのほうが気楽だ、ということでしょう。いつもはたあいもない話で盛りあがっていた会なのですが、ある日のゲストが皆に謎を出したことから、ストーリーが始まります。頭脳に少なからず自信のあったメンバー達は、自分がその謎を解こうと、やっきになって議論しあうのですが、結局謎を解くのはレストランの給仕であるヘンリーなのでした。そっと後ろにひかえており、物静かな名給仕のヘンリーが実はホームズばりの推理を披露することに皆驚きますが、それが何回も続くことで、決してまぐれではなく、彼は素晴らしい頭脳の持ち主だ、と認めるのです。
おすすめポイント
 ゲストの話を聞いただけで、謎を解決してしまうヘンリーの推理も見事ですが、それ以上に会のメンバー達の楽しい会話や、おいしそうな料理の数々もみどころの一つです。そして、なによりアシモフ自身が各話ごとにはさむ「あとがき」が楽屋話のようで楽しいのです。アシモフといったらSFの方が有名かもしれませんが、ミステリーもやっぱり本格派です。アシモフの膨大な知識をもとに書かれるバラエティーに富んだ短編集となっています。長編もありますが、この黒後家蜘蛛の会は一話がかなり短いものなので、例えば通勤電車の中ででも楽しめる一品です。
心に残ったこの一言
   「生きてこの世にある限り、わたしは”黒後家蜘蛛の会”を
     書き続けることを約束する」 ――アイザック・アシモフ
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