作品タイトル   作者名   出版社

「星虫」    岩本隆雄

(新潮文庫ファンタジーノベルシリーズ)
作品ジャンル(管理人の独断で決定)
 本格SF(友美の長い長い1週間)
あらすじ
 主人公の友美は、学校ではおとなしい優等生だ、と思われていますが、実は宇宙飛行士になるのを夢見ている、しっかりした(というよりも気が強い)男まさりの女の子です。ただ皆にバカにされるのが怖くて、宇宙飛行士になりたい、などと言い出せないでいます。
 それが、ある日、友美の頭に流星のようなものが降ってきて、額に虫のようなものが張りついた時から、友美の運命が変わってしまったのでした。それは友美だけではなく、全世界で起こった現象でした。「星虫」と名づけられた、それがあると目が良く見えるようになったり、耳が良くなったりするので、皆、最初は単純に喜んでいたのですが、星虫が生きているかのように、成長をしてくるにつれ、人々は恐ろしくなり、星虫を拒むようになりました。そして星虫は人間に害を及ぼす寄生生物だと、言われるようになります。最後には友美と、居眠りばかりしている寝太郎というあだ名の広樹だけが星虫の保持者となり、星虫の正体を知ることになるのです。
おすすめポイント
 これは友美におこった、たった七日間のストーリーです。七日間とは思えないほど、ぎっしりみっしりと詰まっています。ファンタジーのようなSFのようなストーリーですが、友美の何事にも一生懸命で、ひたむきな姿に心を打たれます。
 そしてこの作品と対をなすものに「イーシャの舟」があります。不幸の固まり年輝が妖怪天邪鬼を育てる羽目になってしまう作品です。こちらは「星虫」のウラバージョンとでも言うべき作品で、星虫ほど劇的な展開があるわけでもなく、ストーリーも暗くて地味なものですが、両方読むと,より面白さが増すと思います。
心に残ったこの一言
   「臆病になったら夢は逃げるわ。
     …それから、夢は、見るものじゃないのよ」 ――吉田秋緒

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