作品タイトル   作者名   出版社

「ファサード」   篠原烏童

   (新書館/ウィングス 1〜10巻 以下続刊)
作品ジャンル(管理人の独断で決定)
 ファンタジーロマンSF風味
あらすじ
 この作品では、自分の中にたくさんの人格(といっていいのかどうか、人ですらないかも)が住んでいて、主人公のファサード(外づらという意味)はただ単に彼らのまとめ役にすぎません。時と場合に応じて、中の住人達が表に出てくるのです。オオカミになったり、翼が生えたりすることもあります。ファサード達は、時間や空間を飛び越えて旅をしています。それがどういう意味で、何をするのかわからないままに。ただ彼らはいろいろな時や場所でたくさんの人々に出会い、事件に巻き込まれたり、優しさにふれたりします。次は彼らはどこに行くのかを考えるだけでも楽しみですね。なんでもあり、ですから。
おすすめポイント
 この人の作品は、表現方法はいろいろですが、「ファンタジー」と言うのが一番似合っていると思います。SFやホラーっぽい味付けをしているものもありますが、どれも幻想的で美しいです。「自然」あるいは「地球」と「人間」のかかわりについて考えさせられます。でもお説教ではなく、偽善的でもなく、やわらかいフィルターをかけて教えてくれるのです。だから一見、登場人物のゆく末にハラハラしたり、ドラマティックなストーリーを追いかけていると、気が付かないことすらあります。テーマがしっかりしているから、読んだあとに、じんわりと作者の思いが伝わってくるのです。
心に残ったこの一言
  「ならばいっそのこと見せるな。私にこんな光景を」
     
 ――ファサード (1巻P101)
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 (朝日ソノラマ/眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

 香港を舞台に、ちょっと気弱な主人公、阿樹の中にはもう一人の人格、灰暗が。そのため妙なことに巻き込まれ…。風水や四神といったものが好きな人におすすめ。

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