作品タイトル   作者名   出版社

「王都妖奇譚」   岩崎陽子

  (秋田書店/プリンセス 全12巻)
  (秋田書店/文庫 1〜 以下続刊)
 
作品ジャンル(管理人の独断で決定)
 安倍晴明パラレルストーリー(厚き友情物語…?)
あらすじ
  天才陰陽師、安倍晴明は、その身に宿した強大な力をもてあましながらも、感情を表に出さぬように、人と深く関わらぬように生きていました。未来を見る力によって、目の前の人の行く末が分かってしまっても、どうにも出来なかったり、救えなかったりする自分に、無力感を感じていた晴明でしたが、ある日、一人の男と出会います。その人の名は藤原将之。彼の顔にはありありと「死相」が出ていたのですが、彼は晴明の忠告を無視して、わざわざ戦いの中に飛び込んで行きます。予言など信じない、絶対に俺は死なないと言い張る将之に、ついに晴明も折れて、そばに居ることを許すのでした。
 そして、将之と共に、もうひとりカギとなる人物は、橘影連です。晴明の兄弟子だった影連と、晴明は共に陰陽師の修業をしていたのですが、影連は過去のいきさつから復讐を望み、都を滅ぼそうとたくらんでいます。かつて共にすごした影連を、どうにかして救ってやりたい晴明ですが…。
おすすめポイント

 すでに巷には星の数ほどの「安倍晴明」モノが溢れ返っていますし、これもその中のひとつだと言えなくもないのですが、これが他の作品と決定的に違うところは、あくまでも晴明が「人」だということです。超絶美形の非の打ち所のないクールビューティな晴明様をイメージしている方には、ちょっと違和感があるかもしれませんが、こちらの晴明様はとても人間くさくて、悩んだり、苦しんだり、迷ったりしていて、そこが素敵なのです。
 晴明が裏と表のような、あるいはとても魂が近しい存在の影連に惹かれつつも、磁石の同じ極が反発しあうように、戦うことになってしまう二人の微妙な関係や、晴明と全く正反対であるからこそ、お互いに補い合い、心を通わせていく将之との、まるで「太極図」のような関係もまた見どころです。この3人のバランスがいいんですよ。他にも個性的な脇役がたくさん出てきます。私のお気に入りは良源サマですね(笑)。

心に残ったこの一言
  「記憶も過去も知ったことか!
   何度私を忘れようと、何度でもおまえに友とよばせてみせるぞ」
      ――安倍晴明 (4巻P93)
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 「特になし」

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