作品タイトル   作者名   出版社

「獣でもなく」   有栖川るい

  (角川書店/あすかコミックス 全5巻)  
作品ジャンル(管理人の独断で決定)
 衝撃的ファンタジー (和洋中華ごちゃまぜ風味)
あらすじ

 主人公和宮琥珀(かずみやこはく)と、その母が乗っていた飛行機が墜落してしまい、ある島に不時着します。幼い琥珀は、母と共にかろうじて生き残るのですが、母は救助が遅れた為に死んでしまいます。目の前での母の死に衝撃を受ける琥珀ですが、そこに1頭の白い虎が現われるのでした。琥珀の母を食べようとしたその虎は、何日も飲まず食わずで飢えていた琥珀にも、まるで「食べろ」と言うかのように、母の腕を差し出してきます。ためらう琥珀も、最後には飢えに負けて母の肉を口にしてしまいました。島にただ一人残されて数ヶ月、その間の出来事の衝撃のあまり、髪は真っ白になってしまいます。
 やがて助け出された琥珀は、事故の原因を知る事になります。飛行機が落ちるように「毒物」が仕掛けられていたのです。救助が遅れたのもその為でした。もしかしたら救助が早ければ、母は助かったかもしれない、自分は母を食べてまで生き延びなくてもよかったかもしれない。琥珀は毒を仕掛けた相手に復讐を誓います。母の死に意味があるのならば、それは自分を生かす為、そして復讐をさせる為なのだ、と。

おすすめポイント
 いきなり衝撃的なシーンから始まりますが、実はこれは冒頭のほんの20ページくらいの間の出来事です。ここからさらにもっといろいろな事が、これでもかっというくらいに起こるんです。毒を仕込んだ復讐の相手を探していく間に、琥珀は自分の正体を知ったり、「仲間」と呼べるような者たちとも出会ってゆきます。
  自分は「獣」なのか「人間」なのか、それとも「神」なのか…?
  琥珀は自分が生きている事が正しかったのかどうか、そして復讐を遂げる事が本当に自分の為になるのか、悩み苦しみながら成長していくのです。繊細で美しい絵と、凄惨なまでに衝撃的なストーリーがうまく似合っていて、とても特徴的な作品です。私は東洋美形の瑪瑙(めのう)くんがお気に入り。
心に残ったこの一言
 「あんたに助けられてやめた。生きてゆく事にしたんだ」
             ――香家瑪瑙 (1巻P60)
こちらもおすすめ!

 「ミレニアム 千年王国」
   (角川書店/あすかコミックス 全3巻)  
 自称「世界一運のいい男」党丈雅は、実は天才博士の祖父によって改造された不死身の「改造人間」なのでした。こちらはちょっとコメディタッチです。

作者・作品一覧  TOPへ