読書日記(番外)

ファイナルファンタジー10のプレイレポートです。
思いっきりネタバレですので、ご注意を。

 ◆FF10レビュー


第一印象
  サラサラでフワフワなんです
 オープニングムービーから、美しいです。PS2になってやはり格段に美しくなりましたし、なんといっても「質感」が違うのね。CGというと、どこか人工的でどうしても「硬質」な印象がありました。それが今回は髪のなびく一本一本から、肌のなめらかさ、洋服のやわらかさといった細部に至るまで、執念すら感じられるほどに作り込んであります(苦笑)。特に「水」の表現は圧巻です。ムービーじゃない画面もかなりきれいになっていて、つなぎ目にほとんど違和感がないしね。ま、でもここまで人物がリアルだと、実写でもいいんじゃないかって気はするけど…(演技力によっては学芸会になってしまう怖れはあるが)。

  こ、声がついてるよ!?
 私はこれまでFFシリーズに「声」がついていないのは、作戦というか演出だと思っていたのですが、どうやら単純に容量の加減だったようですね。PS2になって余裕が出来たら、あっさりと声付きにしたところを見ると。しかし、これは最初は戸惑いました。だってFFに声がつくなんて、考えたこともなかったもん。しかも主役クラスが素人っぽい声なので、ますます戸惑い。…大丈夫か?と不安になりましたが、見ているうちに慣れましたし、むしろ変に芸達者な声優さんよりも自然で良かったかな、と思えるようになりました。少なくともティーダは正解!

  映画かしら?
 最初の数時間は特に、「見ているだけ」の状態が続きます。延々とムービーが続き、ちょっと操作するとまたムービー。この繰り返しなので、強制的に話が進んでしまいますし、とにかく謎だらけです。それが苦手な方もいるでしょう。私も実はそうでした。見ているだけは嫌だー!映画じゃないんだ、これは!とずいぶんイライラさせられましたが、それをちょっと我慢することが出来たならば、きっと楽しくなってくるはず。


ストーリー
  これは愛の物語です
 とにかくテーマは「愛」でしょう。なんてことを書くと、「FF8」のような恋愛メインに思われるかもしれませんが、違います。もちろん多少の恋愛要素はありますが、それがメインではなく、親子・兄弟といった肉親の情や、友情、果ては人類愛と呼ぶのが相応しいような愛までが登場してきます。でも人間なら誰だってそうではないでしょうか。恋人も大事だけど、親や兄弟だって大切だし、故郷や家も必要で、友人だってそばにいて欲しい。そんな誰もが持っている大切ものを護るために、彼らは旅立っていくのです。

  巻き込まれて流されて
 主人公のティーダは、最初はただ流されるだけです。自分が置かれている状況もよく分からないままに、ひたすら前に進むしかありません。そして、物語が中盤から後半頃になって、ようやく全てのことを彼は知るのですが(それが冒頭のムービーの場面です)、そこに至るまでは、何も知らないが故に無邪気で幸せだった時のことを「回想」するという形で、ストーリーは進んでいきます。ほどけていた糸が絡まるように全てが収束されていき、最後の時に向かっていくストーリーに、いつしか主人公に感情移入し、のめり込んでいるのです。


システム
  丁寧ですね。
 操作は分かりやすいですし、アイテムやアビリティの説明ももちろんちゃんとあります。説明書をいちいち見なくてもいいのはずっと前からのお約束。戦闘方法や、レベルアップの仕方などが毎回変わっても、それほど戸惑うこともないのは、それだけチュートリアルがしっかりとしているから。さすがです。ただ一つ、武器防具の整頓が出来なかったのは残念ですが(出来なかったよね?)。
  スフィア盤
 今回は「レベル」という概念がなく、ポイントを貯めて「スフィア盤」で成長するシステムでしたが、これ自体はすごろくみたいで分かりやすかったですね。最初はほとんど固定のルートしか動けませんが、ある程度進むと自分で好きなようにキャラクターを成長させることも可能だし。成長のさせ方によっては、全然使えないキャラクターになってしまうこともありそうです(キマリとか…)。
  武器防具
 こちらも特殊でした。「攻撃力」「防御力」がなく、同じ武器でもステータスによって与えるダメージが変わります。違いは武器防具についているアビリティのみ(攻撃力+10%とかHP+10%とか)。最初はかなり戸惑いましたが、こちらも慣れてくると「改造」が出来たりして、自分なりのオリジナル武器防具が作れて楽しかったです。そういう面では意外と自由度の高いゲームかも。
  オーバードライブ
 これはかなり便利でした。キャラクター独自の個性が出てて面白かったし、何度もピンチを救われたこともあります。ただアクションが苦手な私には、ティーダの目盛りも止められないし、ワッカのルーレットも揃えられないし、アーロンのコマンドも入力できないんですけどね…(苦笑)。


キャラクター

 ティーダ

  可愛いッス♪
 とにかく等身大の普通の男のコでした。慣れない環境に戸惑ったり、悩んだり苦しんだりしながらも、一生懸命に明るく振舞い勇気づけてくれました。少年らしい「青さ」「未熟さ」を自覚しつつ、それに苛立ったり、もどかしかったりしているのが可愛らしくもあります。彼がだんだんと成長していく姿を見るのもまた楽しいですよ。父ジェクトとのやりとりは一見の価値あり。

 ユウナ

  良い子だね。
 生まれた時からたくさんのものを背負っている女の子です。逃げ出しちゃってもいいのに、一つも弱音を吐かないで、自分の運命を受け入れ、真っ直ぐに進んでいきます。つまりはティーダとは違い、すでに「大人」なのですね。もっとワガママを言ったり、すねたり、怒ったりもして欲しかったな。

 ワッカ

  いい兄貴分。
 見るからに「アニキ」なのですが、本当に弟がいたりして、それもまた結構重要ポイントだったりして。もしかして一番変わったのはこの人かも。一見するとお調子者でいい加減ぽいのに、融通が利かなくて頑固だし。ちょっとイライラさせられましたが、根は素直ないいヤツなんだよね、うん。

 ルールー

  きれいなお姉さんは好きですか?
 色々と「過去」のある女性。つまりは「秘密」がいっぱいってことで。そこがまた謎めいていて良いんですけどね。黒い服にも秘密があるのだ。結局、彼女は吹っ切れたんでしょうか。この旅で何かを見つけられたのかな。でも大人の美女なのにぬいぐるみ(?)を持っているのは変ですよ。…そう言えば最後の方はほとんど使ってなかったなぁ…。

 リュック

  まだ考え中なのっ!
 ぱっと見は頭の中身も軽そうなのに(ゴメン)、実はちゃんと周りを見ていて、いろいろと考えている女の子。彼女の鋭すぎるツッコミに、ティーダくんはもちろん私もぐっさりと突き刺されましたよ…。でもいつも一生懸命だよね。キャラクターとしてはすごく好きだったんだけど、あまり使ってあげられなかったのが残念。

 キマリ

  無口です。
 最初はしゃべれないんじゃないかと思ったくらいに無口でしたが、だからと言って何も考えていない訳じゃなく、とにかくユウナひとすじなのね。たまにユウナの話をしている時はちょっと楽しそうでした。この人はこの先もずっと変わらないんだろうな。それが安心感。あ、「竜剣」ほとんど使わなかった…スマン。

 アーロン

  実は苦労性。
 文句なくカッコイイです。男の中の男です!(笑)。若かりし姿もまたヨシ。クールなようで情に厚く、どっしりと落ち着いているようで実はマメ(?)なお方。あっち行ったり、こっち行ったり、色々とお疲れ様でした。基本的には人に使われるのが好きなのか?人間の性格って、10年経っても大して変わらないってことかもね(笑)。戦力としても文句なしに強くて頼りになりました。

 シーモア

  謎のお方…。
 出てきた瞬間から「悪役」くさいオーラを放っていたし、ここを読んでいる未プレイの方もヤツを見て「いい人♪」なんて絶対に思う訳ないだろうから、どんどん書いちゃいます(笑)。なんつーか、理解不能でした。彼は何をしたかったのか。そして結局何かを得ることは出来たのか。うーん、でもジェクトのせいでかなり影が薄くなった所もあるので、気の毒な人ではあったのかも…。

 ジェクト

  もしかすると全ての元凶…かもしれない。
 ティーダの父。これが全てを言い表しておりますが、こんな父親でよくぞあそこまで素直な息子が出来たと言いたいよ、私は。とにかく不器用な人なんだろうね。自己表現はしすぎるほどにしているにもかかわらず、肝心なことは一つも言えないという…。でもそんな所が好きです!(爆)。


ミニゲーム・イベント

 ブリッツ

  ハマりました。 
 何となく自分で操作しているようで実はほとんどオートだったりするのが、単純明快で良かったです。最初は大変ですが、ある程度勝てるようになると本当に楽しくて。ワッカの装備をもらうためだったのですが、それも忘れて遊びまくりました。エイガー好きだ〜!(笑)。

 チョコボイベント

  難しい…。 
 
アクション苦手の私には、どれも大変でした。一つくらいはアクションじゃなくて頭脳プレイみたいなものがあっても良かったのにー。ほとんど「裏ワザ」のお世話になっちゃいましたよ。指が痛くなるう〜。

 モンスター訓練所

  つ、強すぎ…。 
 
モンスターを捕まえるのはそれほど苦労じゃないのですが(見つけるのは結構大変だけど)、その後の訓練所オリジナルモンスターは何であんなに強いのだ〜。結局一匹も倒せず。ま、ストーリーに関係ないからイイか。

 その他イベント

  アクションばっかり〜(泣)。 
 
「蝶探し」にしろ、サボテンダーの「だるまさんが転んだ」にしろ、「雷避け」にしろ、とにかくアクション要素ばっかりなのね。私はアクションがすごく苦手なんだってばー。だからRPGやってんのに。結局「蝶探し」はクリアできず…。


エンディングを迎えて
 ストーリーの核心のネタバレについては伏せ字にしました。反転して読んでね。
  全体的なこと―。
 今回はシナリオの勝利ですね。間違いなくシリーズ中でも最高のシナリオだったのではないでしょうか。少なくとも「7」以降ではこれが一番いい出来だったと思うし、素直に感動したし、感情移入も出来ました。いやもう、本当に泣くってば。ポイントはやはり「シン」をジェクトにしたことでしょうね。あのイベントがなかったら、普通のゲームになってしまっただろうなぁ。これがあったからこそ、単なる「恋愛モノ」や「勧善懲悪」にならず、奥の深いシナリオになったのだと思います。それからだんだんと謎が明かされていって、そのことでまた悩んだり苦しんだり迷ったりする所が良かったです。

  エンディング。
 これはいろいろと賛否両論ありそうですね。私ももうちょっとはっきりさせて欲しかったような気もしますし、描かないなら描かないで欲しかったなぁ。あいまいなのよね…。ま、私としてはティーダが消えていく所でラストとしては充分でした。その後はいらないのよー。結局、謎も色々残ってしまったし…。

   …そして
  いろいろ書いてきましたが。
 これまで、「7.8.9」とやってきて、皆がハマっていたり、良いゲームだと言っているのを横目に見ながら、あまりピンと来ませんでした。それが、今回久しぶりにどっぷりとハマってしまいました。もしかしたらシリーズ中でも最高の出来ではないか、と思えるくらいにすごく好きです。シナリオもキャラクターも文句なし。まだやっていない方はぜひやってみてください。それだけの価値はあると思います。





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